「というわけなんですよ。先輩。」
紅竜が真剣な顔で話を切り出す。
「へぇ…これはまた…」
「切り出せない状態かね。仲が良いんだろ?」
天暫は完全に人事のような様子だった。
「まぁ、仲が良くてもこっちとそっちじゃあ違うからね。お互いきり出せないって話しさ。」
「アレな趣味の話はした事無いみたいだし。」
仁竜が気難しいそうな表情をする。
「雲竜も普段は軍事関係の話で盛り上がっているみたいだけど、ホエルといる時は、
お互いの気を引く話をしてみたいとは思っているみたいですよ。」
「へぇ、雲ちゃんがねぇ…もっとマシな話をすればいいんだよなぁ。」
「軍オタなんだよ。アイツは。それしか話さないからドン引きするわ。」
天暫は雲竜に恨みでもあるかのように悪態をついた。
紅竜は気を取り直して話を進めた。
「まぁそれは…とにかく、雲竜もアレ…ホエルとやりたいとは感じているはずですから、
そこは切り出してあげましょうよ。」
「仁竜先輩。勿論天暫先輩もお願いします。」
「あ〜、ああ、仁竜ちゃんのフィアンセの頼みだ、ほら、一肌どころか「最後の一枚」も脱いでやろうぜ。」
「ん〜ああ…そうだね。」
天暫の言い回しに仁竜の顔が引きつった。
◆次の日
◆水球サークルロッカールームにて
「あ…雲竜、これから時間ある?」
このままでは、雲竜が寮に戻ってしまい、紅竜の折角の打ち合わせが無駄になってしまう。
ホエルは着替え中に雲竜を呼び止めた。
「ああ、良いよ。俺もホエルを誘おうかなって思っていたんだ。先に言われちゃったけど。」
紅竜は雲竜にも同じ事を告げていた。
「じゃあ、これから紅竜がいるグランド脇の道場に行こう。」
二人は着替えを済ませた後、グランド脇道場に向かった。